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【稗史(はいし)倭人伝】

稗史とは通俗的かつ非正統的な歴史書等をいいます。 現在進行形の歴史を低い視点から見つめます。

茨城県民を待つ福島の100倍の生き地獄……東海第二原発再稼働へ!

東海第二原発の再稼働だけは、絶対許してはいけないのだが……。

 東海第二原発の再稼働を表明 日本原電  NHK NEWS WEB 2019年2月22日

茨城県東海村にある東海第二原発を運営する日本原子力発電は22日、茨城県に対し、原発の再稼働を目指す考えを伝えました。ただ、再稼働するためには、慎重な姿勢を示している周辺の自治体からも事前に了解を得る必要があり、再稼働の時期は見通せない状況です。

それでも再稼働に向けて動き出さなければならない事情がある。
「日本原電」は原子力発電専業の電力会社である。
火力や水力発電を持つ他の電力会社とは違う。
発電した電力は全て既存の電力会社に売ることになっている。

同社は現在4基の原発を保有している。
東海原発・東海第二原発・敦賀原発1号機・原発2号機である。
いずれも稼働していないし、東海原発と敦賀原発1号機は廃炉が決まっている。
敦賀2号機は活断層の上にあり、再稼働できる見通しが立たない。

残るは東海2号機のみである。
こちらは標準の耐用年数40年に達している。
それであと20年延長しようとあがいている。
全ての原発の廃炉が決まれば、この会社は即座に消滅することになる。

東海第2の場合、安全基準に沿って先ず防潮堤を作らなければならない。
建設費用は1740億円である。
ところでこの会社の資本金は1200億円である。
株主は東京電力を始めとする電力各社である。
売り上げは立派に上げている。

             2013年度   2014年度   2015年度 2016年度   2017年度

売上高(百万円)   124,818    131,894      113,801    108,528     113,515
発電量             0 0 0 0 0
売電領             0 0 0 0 0

発電量0でも売上高は1000億円以上を続けている。
このほぼ全額は各電力会社から受け取る基本料金である。
東京電力だけでも毎年400億円以上を支払っている。
買取る電気は0だが、東電は、別に自分の腹が痛む訳ではない。
電力会社の電気料金は総括原価方式によって設定されている。
かかった経費に一定率を掛けて利用者に押しつける。
つまり我々利用者が毎年一千億円以上を負担しているのである。

防潮堤の建設費1740億円も東電等が貸し付けることになっている。
勿論焦げ付いたら、その費用も利用者の負担になる。
東電の腹は痛まない。

さて東京電力の資本金は1兆4000億円。
日本原電はその一割にも満たない1200億円である。
一旦重大事故が起こったら即座に破産である。
東電でさえ、事故後の避難者への手当、補償、賠償など満足にできないのだ。
日本原電にそれが出来るわけがない。

事故直後、福島の避難者はほぼ14万人。
東海第2の場合はその三倍の90万人を越えるという。
90万人の避難民など対応出来るわけがない。
まして相手は倒産確実となった瀕死の会社である。
東電のように他の発電所で日銭を稼ぐこともできない。

100万人の避難者に一人一日一万円の経費をかけるとすると、一日当たり100億円。
昨年度末の流動資産(現金預金その他)残高は700億円程度。
一週間で底をつく。
二週間で年間売り上げが吹っ飛ぶ。

いくら立派な避難計画を作ろうと、絵に描いた餅である。
事故から8年たっても、未だに東電相手に幾つもの裁判が続いている。
もし相手が日本原電なら、とっくに請求する相手は消えてなくなっているだろう。

それでも近隣住民が再稼働を受け入れるというのであれば、これはもう狂気の沙汰というほかはない。
事故を起こす確率は低いかもしれない。
しかし、事故は起こるかもしれない。
そのとき、失うものが大きすぎる。
90万人が地獄を見る。
生命財産を僅かな電気料金と引き換えるばかばかしさ。
どう考えても成り立たない賭けである。


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