籠池氏が、何人かの政治家に助力をお願いしたのは事実なんだろう。
しかし、そんなことは普段に行われている陳情行為のありふれた一こまであろう。
たとえそこに金銭が絡んでいたとしても、依頼された田舎政治家には財務省の役人を動かす力などないことは分かり切っている。
籠池氏の行動を後押しし、それを実現させる一歩手前まで後押ししたのは、極右思想、明治信仰だったのだ。
ここに安倍晋三は活路を見いだしたようだ。
「私や妻が関係していたなら、総理大臣も国会議員も辞める」
安倍晋三の言葉は厳然として残っている。
そして、籠池氏の口からは驚くべきことが次々と飛び出してくる。
安倍晋三からの100万円の寄付。
総理大臣夫人付き谷査恵子氏のファックス。
これで追いつめられて絶体絶命の安倍晋三は、先の自分の発言の文脈をいじくりだした。
もうこれしかない。
「政治家の絡んだ贈収賄事件」という文脈の中で言ったことだ。
(もし、事件の性質が違っていれば、当然自分は辞める必要はない)」
昨日今日のテレビ報道を見ると、すでに自民党や公明党は、この方向で動き出しているようだ。
「事件の本質は……」などと、何とか、「政治家の関与」、「贈収賄事件」の中に「関与の責任」を閉じこめたい狙いが見え見えである。
しかし、安倍の言葉にはそのような限定はついていなかった。
「私や妻の関与」は無限定であったはずだ。
こんな見え透いた言い訳で、逃がしてはいけない。
ついでにもう一つ。
総理大臣夫人付きの谷査恵子の一件についてである。
菅官房長官は、封筒の宛名が「谷査恵子」であることをもってして、籠池氏が谷氏個人に依頼したものであり、昭恵夫人の関与はなかったと主張している。
しかし、これをその論拠とするには弱い。
我が国の伝統としては、下位の人間が貴人に出す手紙は、直接相手の名前を記すのではなく、その周辺の人を名宛人とするのが普通であった。
将軍夫人への手紙は、お付きのお局様宛に出される。
勿論、籠池氏がそんなことを知っていたかどうかは分からない。
だが、そんな伝統は確かにあったのである。
籠池氏に、貴人を憚るという気持ちが働いていたかもしれない。
菅官房長官がわざわざ封筒のみを持ち出してきても、その封筒が「昭恵夫人は無関係」の証拠にはならないのだ。
その文面を見なければ判断できないのである。
これから、自民党は、数々の言い逃れ、すり替え、詭弁を繰り出してくるだろう。
しかし国民は、安倍の言った『私や妻が関係していたなら、総理大臣も国会議員も辞める』という言葉をしっかりと覚えている。
一体、自民党、公明党は何を守ろうとしているのか?
守るべきは、国民であり、民主主義であり、正義である。
安倍晋三ではない!
